下町ロケット 池井戸潤著


半沢直樹シリーズの著者で有名ですね?
さらには、ついこの間映像化された下町ロケット。
実は、ドラマ版はいっさい見ていないんです。でも、池井戸作品は面白いとわかっていての半ば確信犯的な購入でした。
半沢直樹シリーズは4作とも購入して読んでいますので、そのうち読書感想文を上げようかと思っています。

率直な感想としては、スッキリする小説ですね。
下町の工場が一部上場の大企業を相手に技術力で勝負する。
なんとも解りやすい構図ですが、そこがいいところだと思っています。
私が読んだ池井戸作品はほぼ全部スッキリ系です。ドラマの花咲舞が黙ってないも黄金のワンパターンと言えなくもないスッキリ系でしたし、半沢直樹も同様ですね。
ただ、この方の特徴として、人情ってのが入ってくるあたりがなんとも感動的です。
効率を重視する者。夢を追いかける者。足を引張る者。
現実にもいますよね?でも、そういう人をひっくるめて悩んで、戦う姿が自分にはないヒーロー像になっているのだと思います。
話は変わりますが、この小説は、タイトルの通りロケットが出てきます。
そして主人公はロケットの研究者であり、経営者です。私も開発を行う仕事をしていますので、成果がでない。時間がかかり過ぎているなど、身に覚えがある情景が出てくると単なる小説としてではなく、自分の置かれている状況と重ねてしまって、少々耳が痛い思いをしました。そういった意味合いでは、私にとって特別な小説となったのだと思います。

今回は、勉強になるというより、印象的な登場人物でも書いてみましょう。

殿村(銀行からの出向)
この人は、銀行から出向している人なのですが、物語が進むにつれ、現在の会社を愛し、信じ、銀行を裏切る覚悟で問題解決に挑む姿が素敵ですね。
正直、自分にはない感性を持っている方です。
主人公である佃に銀行をクビになったら雇ってくれますよね?信じていますと言うところなんかは、情熱があって、会社は窮地なのに信じて仕事ができているんだと思うと尊敬します。

神谷(知的財産権に詳しい弁護士)
この人が説明する知的財産権(特許)の概略説明なんかはわかりやすくていいと思いますね。大企業相手に訴訟を起こし、さらには勝ってしまう。かっこ良すぎです。
頭のキレる人はかっこいいと純粋に思ってしまいます。
離婚した元妻に紹介された弁護士なんてエピソードも人のつながりは大切なんだと思わせてくれる部分でした。
また、この知的財産権を補佐する仕事なんてのもちょっと憧れを抱いてしまいますね。

真野(社長に現在の従業員の心情を直談判した男)
やっちゃったね。という感想が正直なところです。
実はこの人が自分に一番近かったります。
会社のやり方に反感し、ついには足を引っ張ってしまう行動に出る。
もちろん、私はそこまで具体的に動くことはしませんが、そうしたい衝動に駆られる場面は現実に何度もあります。
それを実現しちゃった辺りがちょっとした憧れであり、また、その後にキーパーソンになりえる人であったりと極端で、不器用で、それでいて弱さも強さも持ち合わせているある意味魅力的な人物です。(私は魅力的ではありませんが)
ただ、やっちゃいけない領域に踏み出してしまったとしても、今までの功績は無駄にならず、どこかで誰かが認めてくれている・・・そんな場面が見られるのも嬉しいところです。
そんな期待を持ちながら仕事ができればなぁ・・・なんて思ったりします。

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