えんぶのホビログ

インパクト絶大! 自作ディープリムホール制作

ディープリムホイールって知っていますか?
日本語にすると深リムってことになるんですが、そうすると車のホイールっぽくなるので、今回は自転車用のホイールですので、ディープリムホイールと呼ぶことにします。
今回はディープリムホイールの本来の性能よりも、見た目がカッコよくなることを目的としたドレスアップのためにハッタリディープリムホイールを自作してみようと思います。

簡易説明

ざっくり説明しますと、ディープリムホイールとは、リムハイトが高くなったことにより、スポークの空気抵抗が少なくなり、速度維持が楽になるというホイールです。また、弊害として横風に少々弱くなります。
また、リムハイトが高くなることによってリム自体の剛性が上がり、スポーク本数を減らせることもメリットです。
主な素材としてはカーボンで、タイヤの取付方法はチューブラーと呼ばれる方式で、リムにタイヤとチューブを接着するタイプがほとんどです。
一方ママチャリなど見慣れた自転車のタイヤはチューブとタイヤが別になっており、接着をしない方式をクリンチャーと呼びます。
注)アルミ製でクリンチャー方式の組み合わせもあるみたいです。
↓こんな感じのホイールです。

試作編

早速ですが、材料から説明します。
・アイリスオーヤマ製 養生カバーL形シルバーYCL-50(長さ1800㍉ぐらい)

・瞬間接着剤(ゼリー状がおすすめですが、画像は液体)

・カッターの刃(黒刃がおすすめ)

養生カバーの材質は調べてみたところ、ポリエチレンフォームだとわかりました。
ちなみにポリエチレンは溶剤の容器とかにも使用されている樹脂で、塗装ができない、接着ができないといった特徴があるようです。
つまり、加工するには最悪なものを選定しちゃったってところですかね?

じゃあ何でこれを選んだのかというと、偶然近所のホームセンターに置いてあって、見た瞬間にこれならいけるかも?と閃いちゃったのがきっかけです。
元々、ディープリムホイールを制作するために加工しやすい素材を探していました。
しばらく調べていると、コスプレの甲冑などを製作しているサイトがあり、そこでコーヨーソフトボード(旧ライオンボード)を使用していました。
コスプレのサイトなので、当然表面処理や塗装方法も詳しく出ていました。
コスプレ業界と自転車業界のハイブリットで自作してやろう!と意気込んでいたんですが、ソフトボードがちょっと値が張るんです。
Amazonのカートにはしばらく入っていて、金が出来たら買おうと思っていたんですが、ホームセンターで偶然の出会いがあったので、浮気しました(笑)
これが運命の分かれ道だったかも?
一方、養生カバーですが、断面を見る限りイメージにピッタリ合い、価格も1本300円と良心的な感じでした。

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作り方としては、養生カバーを40㍉ぐらいの幅にカット。
リムがセミディープ?なのか、20㍉ぐらいのハイトがあるので、その部分と接着するために、
養生カバーを45度付近になるよう適当にカット。
で、力技でちょっとずつ瞬間接着剤で貼り付けていきます。
瞬間接着剤にもポリエチレンは貼り付けできませんと書かれていましたが、とりあえずやってみたら、案外くっつきました。
養生カバーの一番厚いところが10㍉程度で、リムが19㍉幅だったので、サンドイッチする形で、貼り付けます。
その後、スポークを逃がすために切り込みを入れます。
2枚の間に瞬間接着剤を流し込み、固まるまで手で押さえ、ぐるっと貼り付けます。
スポーク部分の切り込みの間にも接着剤を流し込みます。
で、完成!!
試作なので、かなり適当ですが、とりあえず形になることを確認しました。
注意点としては、接着時におそらく養生カバーが溶けているんだと思いますが、変な煙を吐きます。そしてこれが目に入るとめっちゃ痛い!
間違いなく体に悪そうなので、換気は大事です。
私は換気せずにやっちゃいましたが・・・
あとは、養生カバーをカットする時には、カッターの刃はケチらないほうがいいです。
黒刃はおすすめなだけあって、めっちゃ切れる刃なんですが、寿命が短めです。
切れが悪くなると引っかかったりして分かるので、そしたらポキっと折ってしまいましょう。
目安としては1枚の刃で3回は使えます。
ちなみにリムのブレーキ面と合わせてハイト(高さ)は50㍉です。
断面も飛行機の羽のようになっており、良い感じです。
手で持ってホイールを回して耳元で聞いてみると明らかに空気の音が違います!
とりあえず、試作してみたところ、イメージ的にバッチリだったので、一旦すべて壊して、本番を制作することにしました。
壊した時に強度検証も兼ねて壊したため、そこそこの強度があることも確認できました。

表面処理検討編

しかし、ポリエチレンフォームは塗装ができないという問題が残っています。
そのため、表面処理をどのようにするか決めていませんでしたので、これも検証することにしました。
そもそも、ポリエチレンとはどのような材質なのか調べました。
耐油性、耐溶剤性が高い。その特性を生かした製品として、溶剤を入れる容器などに使用される。
ふむ、ということは、塗装や接着がしにくい材質であることがわかりました。
しかし、このままではどうしょうもないので、なんとか実用性があるレベルまで塗装やステッカーを貼れるようにしなければなりません。
まず、ステッカーをつや消し黒塗装の上に貼ってみました。
これは問題なくしっかり貼れます。
あとは、つや消し黒塗装をポリエチレンフォームにすることができれば、ステッカーを貼ることもできそうです。
とりあえず、ポリエチレンフォームに直接つや消し黒塗装したものに、カッティングステッカーを貼り、剥がしてみて、どれぐらい貼りついたか実験しました。
剥がす際に測定器なんて使っていないので、あくまで主観的な見解ですが、こうなりました。

残念ながら、ほとんど塗装が剥がれてしまいました。失敗です。

次に染めQ製ミッチャクロンマルチを塗布した上につや消し黒塗装をしてカッティングシールを貼ってみました。
塗装が剥がれにくなることを確認できました。(剥がれることは剥がれるんですが)

次に偶然100均で見つけた接着剤(ポリエチレンがくっつくと書いてあった)をポリエチレンフォームに原液で塗布し、カッティングステッカーを貼ってみました。

そして、剥がししてみたところ
画像をよく見ないとわかりませんが、ポリエチレンフォームごと剥がれました。
これなら、たとえカッティングステッカーが剥がれたとしても、そのときにはポリエチレンフォームごと剥がれるってことになるので、十分な接着力を発揮できたことになります。

今回の実験結果を元に表面処理方法を検討しました。
1:コニシ製プラスチック用GPクリヤーをペイントうすめ液で薄めて塗布
(全体に塗りやすくするため)
2:染めQ製ミッチャクロンマルチを塗布
3:つや消し黒塗装
4:カッティングステッカーを貼り付け
このような手順でカッティングステッカーまで貼れば十分実用性がある接着強度まで持っていけそうです。

制作編

材料
アイリスオーヤマ製 養生カバーL形シルバーYCL-50(長さ1800㍉ぐらい)

瞬間接着剤(コニシ製 アロンアルファプロ用)
カッターの刃(TAJIMA製 凄刃 CBL-SK10)
先生が黒板指すときに使うシュルっと伸びる棒(名前しりません。100均製)

ホイールにチューブのバルブを通すガイドパイプの取り付け
まず、シュルっと伸びる棒を力技で分解します。(めいっぱい引っ張れば分解できます)
すると、マトリョーシカのように径がちょっとずつ違うパイプが数本得られるので、チューブのバルブ径にちょうどよさそうなヤツをチョイスして、それだけ使います。
今回はブレーキ面(約10mm)も含めて50mmハイトのディープリムを製作します。
で、使用するホイールが約20mmハイトだったので、分解したシュルっと棒を30mmにカット。
それを2本作ります。
ホイールのバルブ穴の部分に適当にテープで仮固定して、瞬間接着剤で本固定します。

穴位置をよく確認して、チューブのバルブが通ることを確認します。
養生カバーの加工
養生カバーはL形をしているので、加工しやすいように手で裂きます。
次に40mmになるようにカットします。
今回の養生カバーはいい感じのところにへこみがあったので、そこに金属の定規をあててカットします。
ホイールがセミディープリムっぽくなっているので、その部分と養生カバーが干渉してしまいます。
干渉を避けるように適当に45度ぐらいの角度になるようにカットします。
今回製作するディープリムホイールは、スポークを両サイドからサンドイッチする形で接着するので、接着面となる内側の表面を薄く剥ぎます。
貼り付け開始位置は、どこからでもよいのですが、私はバルブ穴の部分にシュルっと棒を固定した所から開始しました。
養生カバーの端部の貼り付け面の角をすこーし45度ぐらいにカットして、シュルっと棒と干渉する部分を逃がします。
ホイールのブレーキ面以外の部分に瞬間接着剤を塗り、養生カバーをホイールに沿って丸くなるよう引っ張りながら貼っていきます。
1本分貼り終えるとこんな感じです。
この後不足分を追加したんですが、リムに対して、端面が垂直じゃないため、すこし苦労しました。
経験上50mmぐらい接着せずに残し、端面同士を先に接着したほうが養生カバーのたわみが均一になって良いと思います。
1本が約1800mmなんですが、1本では足りませんので、必ず追加が必要になります。
材料を購入するときには最低3本は買わないと足りなくなってしまいます。
片面が完成しました。
同じ要領で残りの面を貼り付けます。
貼り終えたら、スポーク部分に切り込みを入れます。
画像ではスリット状の切り込みにしていますが、これだと隙間が出来ちゃう箇所があったので、スッと1本だけ切り込みを入れたほうが良さそうです。
切り込み量としては正面から見て1/3ぐらいが目安かと思います。
この辺は経験が必要になってしまうかもしれません。
リア側はスポークが左右均等じゃないので、切り込み量を調節してあげます。
これを2面行います。
ここまでの作業はそこまで時間かからないです。
1ホイールで養生カバーのカットも含めて1時間ぐらいだったと思います。
ここからがすごく時間のかかる地獄の作業なんですけど(汗)
スポークを挟んで2枚の養生カバー同士を接着して行きます。
幅にして30mm分ぐらい接着剤を塗り、両手で押さえて硬化するまで待機。
じっと見ていると煙を吐く(瞬間接着剤が硬化するときになぜか煙を吐く)ので、そうなったら次へ・・・っと永遠と繰り返します。
1箇所約5分ぐらいかかります。
なぜか養生カバー同士の接着は時間がかかりましたね。
その疑問は解決しないまま作業が終了しました。
お金に余裕がある人はゼリー状の瞬間接着剤のほうが早いかもしれません。
大量に使用するので、おすすめはしませんが、時間は短縮できるかと思います。
何日かかかってようやく貼り終えた画像がこちら

平日の夜、仕事が終わってから家でちまちまやってたからってこともありますが、大変でした。
ちなみにこの自作ディープリムホイールは、ニップルを埋め込んじゃうので、振れ取りとか出来ませんので注意が必要です。

塗装編

今回は下地処理~つや消し黒塗装までを行います。
材料
この間作った自作ディープリムホイール
パーツクリーナー(脱脂用)
ウエス(ボロ布やキッチンペーパーなどなんでも良い)
コニシ製プラスチック用GPクリヤー
染めQ製ミッチャクロンマルチ
つや消し黒のペンキ
ペイントうすめ液
適当な容器(今回はプリンで)
筆(100均製)

まず、養生カバー部(ディープリム部)を脱脂をかねてパーツクリーナーとウエスで清掃します。
次に適当な容器にコニシ製プラスチック用GPクリヤーをいれ、ペイントうすめ液で大体1:1ぐらいに薄めます。(塗りやすくするため)
養生カバー部全体に塗布。
乾燥後、もう一回塗布。2度塗りします。
乾燥すると、ぺたぺたした感じが残りますが、はがれたりはしないようです。
次に、染めQ製ミッチャクロンマルチを原液で塗布。
これは、一度塗りにしました。
完成した写真はこちら

なんとなく艶やかです。
次につや消し黒のペンキを適当な容器に入れ、ペイントうすめ液を入れます。
これも大体1:1ぐらいかな?(ペイントうすめ液は少なめでもいいかもしれません)
そして全体に塗布。
あとは、スポークとかのタッチアップも一緒に行いました。
つや消し黒のペンキは2度塗りしました。
そして、完成した写真がこちら
製作中や下地のときには、クリアで気が付きませんでしたが、だいぶゆず肌ですね。
ブラックマヨネーズの吉田みたいだ・・・
この状態で良ければ、つや消し黒塗装で終わりでもいいかとも思っていたんですが、やっぱりカッティングシールを貼ったほうがクオリティが上がりそうですので、カッティングシール貼る事にしました。

カッティングシール貼り付け編

今回使用するカッティングシールはカーボン風です。
やっぱりディープリムホイールと言ったらカーボンだと思うので(笑)
ハッピークロイツ製?カーボン風カッティングシール
1520×300で500円ちょっとの価格だったと思います。

続いてドライヤー

一般的なヘアドライヤーです。
あとはカッターと定規です。

まずは、カッティングシール(一般名称ではシートとは言わない。中川ケミカル製の登録商標だったと思われ・・・)をカットします。
大きさは、700×60を6枚。700×40を6枚。前後のホイールに3枚ずつ使います。
定規とカッターを使用しますので、ケガに注意してくださいね。
表側はこんな感じ。表面に凹凸があって、カッコイイ

準備が出来たら、いよいよ貼り付け開始です。
60mm幅にカットしたものから使用します。
最初に20~30mmぐらい剥離紙をはがして、カッターでカット。
で、元に戻します。
その部分はそのままにして、貼り付けを開始します。
外周に沿うように貼り付けていきます。
内側が波打つようになってしまいますが、この段階では気にしないでください。
その後、波打っているシールのスポーク部分をカッターで切れ目を入れます。
で、ドライヤーで暖めると、シートが柔らかくなるので、巻き込むように貼っていきます。
注意点としては、スポークとスポークの間が広いところは切れ込みを入れた方がしわになりにくくなります。
さらに、スポークの部分は、円周方向にもすこし切れ込みを入れ、スポークとの干渉を避けたほうが後で剥がれたり引っ張られたりしにくくなります。
あとは、ドライヤーで熱した後、伸ばすように貼り付けますが、ある程度熱が引くまで、手で押さえていないと、冷えた後に剥がれてしまいます。
一枚張り終えたら、続きを貼ります。
今回は30mmほど重なり代を見ているので、重なりが多すぎて足りなくなる心配はないと思われます。
結果としては10mmぐらいの重なりで問題無いことがわかりました。
10mmの重なり代で貼っていくと三枚目はだいぶ余るはずなので、ちょうど良いところで長さを調整します。
張り終えたら、一枚目の最初を三枚目の上に重ねるように張ります。
こうすることで、重なり部分がきれいになります。
次に40mmのシートで、逆側の面を張っていきます。
この面は巻き込まないので、スポーク部分はほとんど干渉しないはずですが、ちょっと切れ込みを入れたほうがシワになりにくくていいと思います。
あとは、全体的に30~50mmの間隔で適当に切れ込みをいれ、重ねるように貼っていきます。

当初、この面は切れ込みなしで行けるだろうと思っていたんですが、しわだらけになってしまい、切れ込みをいれることになりました。

シールを張ったものと貼る前の物の比較画像です。
やはり、貼ったもののほうが格段にかっこいいと思っています。
そして、このシートは結構厚みがあるので、養生カバーのみよりもしっかりします。
2個目のホイールも同様に貼っていきます。
慣れたのか、2個目のほうがスムーズで、出来がいい気がしますね。
うーんシワとか、継ぎ目がちょっと気になりますが・・・遠目ではわからないと思います。
ま、60点ぐらいでしょうか?
塗装のみよりも100倍かっこいいのでよしとします(笑)
はがれる部分が出てきちゃったら、瞬間接着剤で補修しましょう。

番外編 質量測定

せっかくなので、質量測定してみました。
条件は、クイックリリースなし、リムテープあり、スプロケなしです。
フロントホイール加工前

フロントホイールディームリム加工後
966(加工後)-876(加工前)=90gの質量増しになりました。
リアホイール加工前
リアホイールディープリム加工後
1212(加工後)-1124(加工前)=88gの質量増しです。
リムテープはパナレーサー製がついていました。
案外重い?22gでした。
結果としては
フロント:966-22=944g
リア  :1212-22=1190g
という結果となりました。
元から軽いホイールではなかったのでこの程度の質量増しで済んでよかったです。
見た目のインパクトは相当増したような気がします。
自己満足度は90点ぐらいですね!
もしよかったらチャレンジしてみてくださいね。